- Ohkuninushi -

◆大国主大神(オオクニヌシノオオカミ)

 神代文字:出雲文字×天日草文字×大神神字

 

御利益 

仁主神。良縁成就・夫婦和合・子宝招来・医薬発展・病気平癒・事業発展・商売繁盛・安全守護・五穀豊穣・所願成就。

※「縁結び」が有名ですが、元来は強大な武神でした。とても妻が多くモテモテの神でしたので、後世で縁結びの神になりました。

祝詞

かけまくも かしこき おおくにぬしのおほかみの おおまへに 

つつしみ うやまひ かしこみ かしこみも まらさく 

ながみことは ちち おほかみの ことのりは 

まにまに よの あらぶるかみどもを ことむけやして 

おおくにぬしと なりたまひ すくなひこなのみこと と 

こころちむつび ちからあはせまして くにうちを つまりいとなみ 

うつしきあをひ とくさのため 

もののために やまひを おさむのりをさだめたまひ 

また くすりの のりまじなひの わざをも はじめたまひて 

おほきと いりちを たてたまひ 

また すめみまのみことの あまくだりましし ときには 

あまつみおやの ことのりを かしこみまして 

うつしごとを さけまつりたまひ 

あまつかみの ちりごろなる ことのりによりて 

かくりごとを しろしめさむと 

ももたらずやそくまでに かくりたまひ 

いずもの やほまい 

きつきのみやを あめのひすのみやと さだめて つつしみまひ 

かくりよの こととりましては 

おおとこの つかさと なりて 

うみのうちとの ひとだまを すべしりたまひて 

かみよも いまも かわることなく 

よの まもりびの まもりに まもり まつり たまへる 

みいさちを あわぎ たふとみ まつりて 

よろづよの いまにいたるまで このひを みまつりひと さだめて 

いつの まやに しめひきは ふとりしでて たてまつる 

みてぐらを やすみてぐらを たるみてぐらと きこしめして 

やぬちおだひに うみのこの からやからは 

おのがむききしめあらず たまはやましきことなく 

わずらはしきことなく いのちながく 

とみさかへしめ つかへまつらたまへと 

たたごとたたへまつらくを 

たひらけく やすらけく きこしさえと 

かしこみ かしこみも まをす。

 

 

解説 

最高神アマテラスの弟、三貴神の末弟「スサノヲ」の義理の息子(娘婿)。ウサギを助けた心の優しい神としても有名ですが、本質的には強大な武神です。結婚を機に、義父・スサノヲの後を継ぐことになり、スクナヒコナとの二人三脚で葦原中国を制覇・支配する「大王」となります。禁厭(まじないのこと)や医薬など、様々な道理・真理を当時の人々に普及することで、出雲地方の国作りを完成させました。後に高天原(天上界のこと)からの使者に国を譲るよう要請され、国譲りの後は幽冥界の主・幽事の主宰者となりました。(別名:大国主命・大国主神・大國主大神 ・大穴牟遅神・大穴持命・大己貴命・大汝命・大名持神・国作大己貴命・八千矛神・葦原醜男・葦原色許男神・葦原志許乎・大物主神・大國魂大神・顕国玉神・宇都志国玉神・伊和大神・伊和神社主神・所造天下大神・幽冥主宰大神・杵築大神・などなど。たくさんの別名があります。)

 

 

オオクニヌシは島根県・出雲市の出雲大社を筆頭に、東京都・府中市の大國魂神社、北海道・札幌市の北海道神宮、他に大前神社・気多大社・気多本宮・出雲大神宮・大国主神社・大神神社・飛瀧神社・八桙神社・ほか、全国の出雲系神社でお祀りされています。まず「オオクニヌシ」が「なぜ、縁結びNo,1の神とされているのか?」このことについて。これは、出雲には毎年10月に諸国の神々が一ヶ月集い(出雲では神在月=出雲以外の諸国では神無月となる)神謀(=かむはかり/合議のこと)を行う月があり、そこでは諸国の神々の間であらゆる「縁結び」が話し合われるとされているためで、その主宰者(=合議の議長)が「オオクニヌシ」なのです。優しいとされながらも本質的には強大な武神なので、神々の議長席に「ドンっ」と座って睨みをきかせるのにもベストな神、ということでしょう。ですので、縁結びといっても男女の「恋愛・結婚」でご縁を結ぶのが得意なだけ、という神ではありません。そもそも出雲の神々による「縁結び」の本質とは、社会の安寧・発展のため「誰と誰を結びつければ良いのか?」「どことどこを」「なにとなにを」「いつ、どのように」結びつければ良いのか?といったような、もっとスケールの大きい意味での縁結びを司るものなのです。

 

 

さらに北海道神宮をはじめ、北海道内のいくつかの神社では「開拓神」としてもお祀りされています。なお中世でのオオクニヌシは、武神・軍神の象徴としての色合いの方が強く、武を象徴する別名が多くあることや、義父・スサノヲの元から手にしたと伝わる太刀や弓を用いて国を広く平定したことなどから、武士政権が崩壊した明治以降〜21世紀の現在でも旧武家・武術家・武道家の家系やその子孫からは強い崇敬があり、氏子数としてはなんと120万人以上を数えます。なぜ後世になって恋愛・結婚の「縁結び」というイメージが定着したのかというと、オオクニヌシには6柱を超える多くの妻神がいること、若かりし頃の「イケメン」ぶりなどから、嫁がいない or 婿がいない、そんな子を持つ親たちの間で「生涯の良い伴侶を求めるならば、出雲(大社)で縁結び祈願をすれば良い。」という「俗説」が生まれ、それが現代の「恋愛・結婚の縁結びなら出雲大社が日本一」というイメージに連なることとなりました。確かに間違っているというわけではありませんが、その程度の小さなスケールではないのがオオクニヌシのご神徳であり、出雲大社の真実なのです。

 

左:オオクニヌシ像

中:出雲大社・本殿(島根県・出雲市)

右上:稲佐の浜

右下:出雲大社入口にて(神迎祭・神在祭)