◆菅原道真公(スガワラミチザネコウ)
神代文字:天日草文字
【御利益】
聖神。学問/学業・心身健全・健康長寿・交通安全・縁結び/縁切り・芸能/芸事・商売繫盛・所願成就。
※一般的には学問の神だと思われていますが、万能の神でもあり怒りに触れると配下の雷神などの眷属を使役します。人が神になった代表的な事例です。
注:もし怒らせてしまったら、災いを招く神としても畏怖されていました。ただ、徳の高い神なのでよっぽどのことでなければ怒りません。
【祝詞】
かけまくもかしこき あめみつだいじざいてんじん の おおかみ
の おおまえに かしこみ かしこみ も もうさく
きよきこころの まことをさきとし かみよののりをあがめ
まさにすなおの もともとに かえりよりし
よこしまの すえののり を すてて
いまかみの みちの たえなるわざを きがんたてまつり
たたえごとをえ たてまつる このさまを
たいらけく やすらけく きこしめして
いまも ゆくさきも おおかみ の
ひろき あつき みたまのふゆ を かがふらしめ
よのまもり ひのまもり に まもり さきわえたまへ と
かしこみ かしこみ も まをす
【解説】
通称「天神さま」の名で広く親しまれる神で、実在の記録が今でも正確に現存している、人が神となった例では一番有名なケースでしょう。神となったさいに得た名前が「天満大自在天神(テンマンダイジザイテンジン)なので、略して「天神」と呼ばれています。人間社会にまつわるあらゆる面で強力な御神徳を持ち、神々の中でも特に人の世俗的な心にも寄り添ってくださる神で、文武両道の「二刀流」の神。現代風にいえば「スーパースター」的な神です。平安時代の貴族・学者・政治家だった菅原道真(スガワラノミチザネ/ミチマサ/ドウシン)の御霊神です。(別名:日本太政威徳天、大聖威徳天、火雷天神、大富天神、北野天満宮天神、実道権現、など。)
菅原道真公は北野天満宮・太宰府天満宮をはじめ、主に「天満宮」と名が付く全国のお社(神社のこと)や、一部のお社では境内の別社でもお祀りされています。古史古伝を考察すると、菅原道真公こと「天神」はまだ現世の人であったころから「眷属使い」だったと推察できます。公を慕って集まったとされる眷属には、金剛、雷神、鬼王、夜叉神、毒龍、悪鬼、水神、火神、雷神、風神、邪神、などなど。総勢にしてみると、なんと168,000柱以上の配下を数えます。当時国中で天変地異を引き起こし、疫病・死病を流行させ、人間界には謀反・乱逆の心を芽生えさせるなど、数多の悪行を働き今にも国を滅ぼさんとしていたところ、菅原道真公が自らの元に何度も呼び集め、公に諭されたことで悪神・悪鬼たちは心を変えて世を良くする神となったとあり、後に眷属たちはその大部分が世を良くする=明るくする「明神」となりました。
ただ道真公が無実の罪でお亡くなりになると、天上に明神達が召し集められ、公に心酔していた眷属たちによりことの顛末が激しく勘糾されました。その為に、一部の納得がいかない明神たちが起こす天災・災害は永遠に終わることがないのだそうです。その後、天神となった菅公はこの世の災厄の一切を任されました。治世の為ならば、自らの眷属を使役して、国に不信の者が多くなれば疫癘の災いをもたらし、自らの不信ならん者は雷神・鬼王・毒龍らに殺害を命じたこともあります。しかし、正直な者、善の心を持つ者らは必ず護って救済することにしていました。人々に宿世(生涯を通して)功徳のあった、悪神・悪鬼すらも従った菅原道真公という素晴らしい逸材が、一部の人間による醜い感情や策謀により愛別離苦(妻子との別れ)の悲しみを受け、亡くなって神となった。それが菅原道真公こと「天神」なのです。
左上:湯島天満宮(東京都文京区)
右上:菅原道真公
下:太宰府天満宮本殿(福岡県太宰府市)