- Kuninotokotachi -

◆国之常立神(クニノトコタチノカミ)

神代文字:大神神字×出雲文字×左津真神字

  

御利益 

国魂神。国家安寧・国土繁栄・国民幸福・所願成就。

日本では政界で長く成功する人物の多くに、ほぼこの神の助力があります。

注:厳格な神で、もし「怒り」が表面化したらこわい神です。神意に沿わないと大きな災いをもたらす神としても畏怖されました。この神にとって優先すべき第一は、日本国の安寧・繁栄です。

祝詞

 

ひふみよや いむなやこてふ かずにこそ あめつちひとも ものもをさまれ 

 

 

解説

日本神話の草創期に登場する神で、地球の大地を司る神です。日本書紀ではこの世に最初に現れた神とあり、古事記では神世七代グループの神(の一柱)とされています。天地開闢(てんちかいびゃく)の際に出現したという記述があり、太陽系に地球が誕生したさい、地球の大地を司る神として現れたのではないか、とされる神です。古事記では国之常立神(クニノトコタチノカミ)、日本書紀では国常立尊(クニトコタチノミコト)と表記されています。男性神として評されることが多いですが、実際は独神(=ひとりがみ:性別のない、又はわからない神)とされており、過去の文献・資料などを総合的に推察すると、どうやら現代的にいえば一種の「変身能力」があったのか、人前には自らの姿を現さない神だったのではないかとも考えられます。記紀や古史古伝などの文献では、具体的なクニノトコタチの風貌を示す記載が今のところ見つかっていません。(別名:国底立尊、艮の金神、など)

 

 

明治時代に残念な歴史があるためか、クニノトコタチを御祭神とするお社は日本全国を見渡してもあまり多くはありません。奈良県橿原市にある天香久山(=あまのかぐやま)という古代より聖地とされてきた山の山頂に「国常立神社」というクニノトコタチの名を冠したお社が建立されていますが、この他は埼玉・秩父の三峰神社で境内社としてお祀りされていたり、東京・永田町の山王日枝神社に相殿で合祀されていたりします。三峰神社や日枝神社のようにクニノトコタチを境内、又は相殿でお祀りしているお社はあるのですが、主祭神としてお祀りしているケースは数えるほどです。明治当時、クニノトコタチとその眷属による予言書とされた「日月神示」では、クニノトコタチが大峠(=未曾有の大厄災)を日本国民に知らせるため現世に再臨したとあり、苦難の「大峠」を乗り越えて三千世界である理想郷「ミロクの世」が訪れる、と喧伝・流布されました。天変地異や食料不足、奇病の蔓延などの厄災も次々と人類を襲うことを予言し、いよいよ人類はこの世の「大洗濯」を受ける時が来たのだ、などとも書かれていましたので大きな社会問題となりました。ただ結果的には、その後の第二次世界大戦における日本の敗戦とその惨状、更にはパラダイムシフトが始まった21世紀の今をも予言していると解釈できるのために、現代になり改めて注目されています。

 

 

「純男(陽の気のみを受けて生まれた神、全く陰の気を受けない純粋な男性)」の神であるとの記述が見られる文献も存在していますが、先進的な研究者の間では前述のとおり「クニノトコタチ」とは宇宙神の一柱で、担当の惑星が地球だったということではないのか?という説もかなり真剣に議論される神です。古事記では神代七代の最初に現れた神とされていて、古代日本でのクニノトコタチは始源神・根源神として、とても崇高で重要な神とされていました。記紀の神話では、天之御中主神(アメノミナカヌシ)高御産巣日神(タカミムスビ※スクナヒコナの親神)神産巣日神(カミムスビ)宇麻志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコシ)天之常立神(アメノトコタチ)の五柱の神を、宇宙創生・天地開闢における別格の神、いわゆる別天神(=ことあまつかみ)として定めています。いずれの神も独神(ひとりがみ)とされ、のちに天地を治めることとなる天神七代・神世七代とは別格として区別されています。クニノトコタチの名前の「国」とは、天に対する地の意味を持ち、前述「アメノトコタチ」の「天」と「クニノトコタチ」の「地」で対をなしているとされていました。また「常立」の名からは「地=国」が永久に続く不変的なものの象徴とも解釈されています。生命が存在する国土や大地の永久性を司っている神だと考えられていました。

左:出口王仁三郎氏が描いたクニノトコタチ

中上:日月神示には富士山についての予言がある

右:クニノトコタチ像

中下:三峯神社(埼玉・秩父)境内にある国常立神社