2025/05/01
先日、銀座で某上場会社の人事担当役員と会食していた中で聞いた話なのだが、今では「5月病」を自ら宣言する社員がいるそうだ。
就職市場では、いわゆるZ世代にあたる大学新卒の新入社員のうち、3割が3年以内に退職しているというデータが出ているそうで、頭が痛いと苦笑していた。
それだけ日本が豊かであり、平和であり、何の危機感も無く、休みボケしたままでも東京で社会人が務まる時代、ということになるのだろうが、今回のコラムでは(きっとPV数は低くなるだろうが・・)日本人に自らの「存在価値」を考えてもらいたいという意図で、タイトル通りWW2の最激戦地と伝わる「硫黄島の戦い」をテーマにしてみよう。
このコラムを見るような人たちなら、きっと硫黄島(いおうじま)の名前くらいは聞いたことがあるだろう。
「硫黄島」というのは、東京の南1250㎞の太平洋上に浮かぶ東西が約8㎞、南北は約4㎞程度の小さな火山島の名前である。WW2、大東亜戦争末期にはこの島を巡り、日本軍と米軍が死闘を繰り広げた。硫黄島の戦いが行われたのは1945年2月19日から3月27日までで、WW2の戦史上では、最激戦のひとつである。
主な経過としては、以下の通り。
1945年2月16日、栗林忠道陸軍中将率いる約2万人の日本軍守備隊が硫黄島で米軍を迎え撃つ体制を整える。
対する米軍海兵隊はその3倍以上の戦力で、3個師団約7万人が上陸作戦を開始。日本軍は全島の地下に防御陣地を構築し、各拠点をトンネルでつなぐ。
日本軍は無益な突撃を避け、米軍の隙を突いて地下陣地から攻撃するゲリラ戦を展開した。
結果、死傷者としては日本軍守備隊側が2万2000人近い犠牲者を出した。祖国を守るために玉砕、英霊となった。対する米軍側では約7000人の犠牲者を出している。
現代に生きる我々には想像すらできないほどの死闘が繰り広げられた戦いの終盤、米軍に穴という穴へ手榴弾を放り込まれ、地下壕は火炎放射器で焼き尽くされた。
米軍上陸から36日目。日本の守備隊のほとんどは壊滅、完全に追い詰められた彼らが祖国のため、できることはただ一つだった。
残された戦力で総突撃を決行し、敵軍にできる限りの損害を与える。そして、少しでも本土侵攻までの時間を稼ぐ。これだけであった。
日本軍を率いていた栗林中将は、最後の突撃を前に部下たちを集め、宣誓の言葉をこう告げた。
「日本が戦に敗れたりと言えども、いつの日か、国民が諸君等の勲章を讃え、諸君等の霊に涙し、黙祷を捧げる日が必ずや来るであろう。安んじて国に殉ずるべし。矛は常に諸子の先頭にあり!」
そして、栗林自ら先頭に立ち、総突撃を決行、壮烈な戦死を遂げた。敵国であったアメリカの米軍海兵隊は、栗林中将の総突撃が脅威であったことを、このように記録している。
「3月26日に栗林と他の高級将校が主導した日本軍の最後の攻撃を受けたという報告があった。この攻撃はバンザイ突撃ではなく、米軍側に最大の混乱と破壊をもたらすことを目的とした優秀な計画であった」
当時、アメリカはアジアを見下していたにもかかわらず、敗戦国のいち軍人である栗林中将を「アメリカが対峙した史上最強の敵」と評価した。
※栗林中将は今でも米軍の「畏敬の対象」として米軍内部では語り継がれている。
日本という国を守るため、現代のわたしたちでは想像すらできない過酷な状況で苦しみ、戦い抜いた栗林中将ら、先人たち。
愛する家族のため、祖国を守るため…自らの命を犠牲にして最後の最後まで強靭な精神で戦った。
先人たちは、いつの日か将来の日本人がその「勇敢ぶり」を心の底から讃え、自分たちの献身を讃え、涙と黙祷を捧げてくれるだろう…と思い、散っていったのである。
しかし、現実はどうか?
戦後から現在に至るまで、日本人はWW2、大東亜戦争について
「日本は戦争で悪いことをした」
「日本の軍人は戦争犯罪者だ」
「戦前の日本は恥ずべき軍国だった」
このような戦後教育で英霊たちを卑下し、「戦争」という言葉に拒否反応を示し、近代史の真実を見ようともせず、「知らない」ということに妙な納得感を持って、ハリボテのような安息感を守り続ける…
こんなみっともない現実が、この日本国で今なお実在しているではないか。
そして、
・国家防衛をアメリカに頼り、資金を言われるがままに支払い続けている
・国内の労働力不足を解消するため、海外からの移民を増加させている
・日銀が介入してもなお、止まることのない円安に悪化するインフレ構造
etc、etc、、、結果として日本はアメリカの属国と見られている。なぜ、このような事態に陥ってしまっているのか。
先人たちの壮絶な戦いがあったことを公立の教育現場では一切教えていない。それでいいのか?祖国のことを想い、愛する家族のことを想いながら散っていった先人の想いをまったく教育現場で教えない、そんなことが、この日本で公然と行われていることが、はたしていいのだろうか。
そして「WW2の真実は教えない」そういった「世界が日本に何をして、アジアは世界に何をされたのか」を明確にしない教育が、戦後から今までずっと続いていることが、日本人として正しいのか。
歴史や戦争の真実を知ることは、痛みや苦しみを伴うことでもあるのだろう。しかし、正しい歴史を知らず、真実から目をそらし、逃げ続けるだけの「日本人」でいいのであろうか?
日本という国は今も、昔も、素晴らしい国である。世界中から尊敬される「人間性」という財産も持っている。その日本が誇り高い国であるためには、世界に誇る「日本人」であり続けるためには、老若男女を問わず「真実の歴史」を知っておく必要がある。
そうではないか?
わたしは、英霊に感謝を捧げられる日本人こそ、正真正銘の日本人である。このように思うのである。
秀麻呂